未来の仕事の道筋:クソ仕事を辞めるべき本当の理由

ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論 ■「ブルシット・ジョブ」とは?  ブルシット・ジョブに巻き込まれてしまった私たちの現代社会を解きほぐす、『負債論』の著者による解放の書。 ブルシット・ジョブとは、被雇用者本人でさえ、その存在を正当化しがたいほど、完璧に無意味で、不必要で、有害でもある有償の雇用の形態である。とはいえ、その雇用条件の一環として、本人は、そうではないと取り繕わなければならないように感じている。 やりがいを感じずに働いているのはなぜか? ムダで無意味な仕事が増えているのはなぜか? 社会の役に立つ仕事ほどどうして低賃金なのか? これらの謎を解く鍵はすべて、ブルシット・ジョブにあった―。ひとのためにならない、なくなっても差し支えない仕事。その際限のない増殖が社会に深刻な精神的暴力を加えている。証言・データ・人類学的知見を駆使しながら、現代の労働のあり方を鋭く分析批判、「仕事」と「価値」の関係を根底から問いなおし、経済学者ケインズが1930年に予言した「週15時間労働」への道筋をつける。 ブルシットジョブ(クソどうでもいい仕事)の5類型 なぜ、これらの意義なき仕事に従事する人が、これほど増えてしまったのでしょうか。 クソ仕事が増えて得をするのは、1%の支配者層です。本来の経済原則によれば、無駄は排除すべきですが、ブルシット・ジョブは存在します。なぜでしょうか? その理由は、一生懸命に長時間働くことが尊いことだというコンセンサス(社会的同意)により、従業員にストライキや政治的闘争を起こさせなくさせるためだと著者は言います。また、プロテスタントの教えのように、長時間労働そのものが人々の心の支えになっているという側面もあります。 そして、セールスマンを苦しめているのは罪悪感だけでなく、生活費を稼ぐこと以外に意義を見出せない、ブルシットジョブの「意義の欠如」です。 みんな自分の仕事がクソどうでもいいと分かっている 現代社会は、自動化や機械化により、多くの仕事がなくなり、農業や家事に従事する人の数は激減しました。それにも関わらず、経済学者・ケインズがかつて提唱したような、週15時間労働の世界は訪れることなく、それを補うように、管理職・事務職・サービス職に就く人の数は1910年から2000年の間に3倍に。 現在のアメリカの仕事のうち、75%がこれに当たるとされています。これらの仕事は、本当に必要なのか。著者は、ほとんどがクソどうでもいい仕事だと提唱します。 多くの人が、自分の仕事から精神的ダメージを受けている 本書で紹介しているイギリスとオランダでの調査によると、一国の労働人口のうちの37%から40%が自分たちの仕事をブルシット(なんの影響も及ぼしていない)と感じているそうで、その仕事からは体力的のみならず、精神的ダメージも受けています。 クソどうでもいい仕事は、意義の欠如で人を不幸にする ブルシットジョブとは、具体的に何か。分かりやすいものが、顧客に必要のない金融商品を人々に売りつけて、ノルマを達成しようとする営業の仕事です。 例えば、少し前にかんぽ生命が何度も売買を繰り返すことで、元本を棄損させて問題になっていましたよね。セールスマンも “心からそれを勧めたくて、売りつけているわけではない” ことは想像がつきます。彼らが悪いのではなく、上司や会社の権威の言うことは絶対!といった体育会系の上下関係を生み出している社会構造が問題なのです。 労働や努力に対する美徳が、人々をクソ仕事から開放させない 日本はどうかと言うと、学指導要領によって、愚直に直向きに努力することは尊いという努力信仰の価値観が形成されていますよね。本来、週15時間労働で済む時代が来ているにも関わらず、週40〜80時間までかさ増しして労働することで、人としての尊厳を保とうとしてしまっているのです。 効率化は管理職の仕事を奪う 労働の美徳化の具体例として、あるシステムエンジニアが、企業のシステムエラーを修正するソフトウェアを開発した話があります。 彼はそれを社長・取締役にプレゼンしたところ、反応がよくなかったそうです。なぜかというと、プログラムが効率的すぎて、取締役など多くの人々の仕事を奪ってしまうものだったから。こんな理由で、なかなか “効率的 = […]